なら歴史芸術文化村 考古遺物修復工房のご案内
天理市教育委員会文化財課は「なら歴史芸術文化村」文化財修復・展示棟の考古遺物修復工房で、考古資料(遺物)の整理作業を公開しています。文化財修復・展示棟の1階見学ロビーから作業の様子をご覧いただくことができます。遺物整理作業は原則として平日(火曜日~金曜日 休館日除く)に実施しています。
考古遺物修復工房では各種体験イベントやミニ展示も開催しています。
詳しくは「なら歴史芸術文化村」のホームページをご覧ください。
考古遺物修復工房で体験イベントを開催しています
考古遺物修復工房では各種体験イベントを不定期に開催しています。天理市教育委員会文化財課が開催するイベントは下記のとおりです。
参加料が必要です。日程や申込方法の詳細は「なら歴史芸術文化村」ホームページのイベント案内ページをご覧ください。
オーブン粘土で勾玉をつくろう!
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オーブン粘土を使って手軽なオリジナル勾玉づくりに挑戦します。
蝋石で勾玉をつくろう!
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蝋石(ろうせき)を削ってオリジナルの勾玉づくりに挑戦します。
鋳造体験 ミニ古墳出土鏡をつくろう!

低融点金属を使って、ミニ古墳出土鏡を鋳造体験します。
考古遺物修復工房でミニ展示を実施しています
考古遺物修復工房の見学ロビーに面した展示ブースで、ミニ展示を実施しています。整理作業工程の紹介や天理市内の遺跡等から出土した遺物を順次展示します。
現在のミニ展示
今回は、なら歴史芸術文化村周辺に広がる杣之内古墳群の小墓古墳から出土した人物埴輪・甲冑形埴輪を展示します。
過去のミニ展示
天理市 内山永久寺跡の瓦・瓦器・土師器(2024年10月23日~12月19日)
川西町【定住自立圏】島の山古墳の竹製籠(2024年8月27日~10月22日)
天理市 赤土山古墳の朝顔形埴輪・円筒埴輪(2024年6月27日~8月26日)
天理市 赤土山古墳の冠帽形埴輪・東殿塚古墳の内傾形埴輪(2024年4月24日~6月26日)
天理市 赤土山古墳の囲形埴輪・家形埴輪(2024年2月28日~4月23日)
天理市 平等坊・岩室遺跡の弥生土器(2023年12月19日~2024年2月27日)
天理市 龍王山城跡の瓦(2023年10月16日~12月18日)
三宅町【定住自立圏】瓢箪山古墳の動物埴輪(2023年8月18日~10月15日)
天理市 合場遺跡 中世の瓦器(2023年6月16日~8月17日)
天理市 大和古墳群ヒエ塚古墳 柳本飛行場関連施設の遺物(2023年4月18日~6月15日)
田原本町【定住自立圏】唐古・鍵遺跡の弥生土器(2023年2月15日~4月17日)
天理市 柳本立花遺跡第1次調査 円筒埴輪・盾形埴輪(2022年12月8日~2023年2月14日)
天理市 前栽遺跡第10次調査 弥生土器・鎌倉時代の土器(2022年10月6日~12月7日)
天理市 中町遺跡 古墳時代の土器・馬歯(2022年8月3日~10月5日)
天理市 石上銅鐸複製品(2022年6月4日~8月2日)
天理市 櫟本チトセ遺跡 櫛歯文鏡と共伴遺物(2022年3月21日~6月3日)
発掘調査と遺物整理作業
発掘調査とは、過去の人間の営みによって残された遺構・遺物を掘り出して記録する作業のことをいいます。天理市内では開発事業や遺跡保護のための発掘調査が日々おこなわれており、多量の土器などの考古資料(遺物)が出土します。
こうした考古資料(遺物)を郷土の歴史を知る手がかりとして利用できるようにするための作業が「遺物整理作業」です。
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古墳の発掘調査
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土器を掘り出しているところ
洗浄作業
発掘調査現場から持ち帰った土器などの考古資料(遺物)は泥まみれです。
土器の表面についた土や泥を丁寧に水洗いします。資料によっては表面が脆いものもあるので、洗う際に新たな傷をつけることがないよう慎重に作業します。
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持ち帰ってきた土器は泥まみれ
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傷をつけないように
注記作業
洗浄・乾燥を済ませた土器の表面に、出土した遺跡・遺構・層位・日付などの情報を1点ずつ面相筆で記入(注記)します。考古資料の来歴を記録する大切な作業です。
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注記は神経を使う作業
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破片一つ一つに丁寧に
接合・復元作業
破片を接着剤で接合し、破片が足りないところは石膏や樹脂を充填して復元します。組み上げる際は全体のバランスを見ながら、本来の形状に復元していきます。組み上げる順序を間違えると破片がうまくはまらなくなることもあるので、慎重な作業が必要です。さらに、復元箇所に彩色を施すこともあります。
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接着剤で土器の破片を接合
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破片が足りないところを補う作業
実測作業
復元を済ませた土器などの考古資料は、大きさ・形状・作りかたの特徴などを観察・記録するために実測図を作成します。完成した実測図は発掘調査報告書に掲載され、その遺跡・遺構の時期や性格を知るうえでの大切な資料となります。
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遺物の実測作業
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発掘調査報告書
更新日:2024年12月20日