大和神社ちゃんちゃん祭り
大和神社ちゃんちゃん祭り 《奈良県指定無形民俗文化財》
所在地
天理市長柄町・三昧田町・佐保庄町・萱生町・兵庫町・新泉町・成願寺町・岸田町・中山町
概要
天理市新泉町の大和神社(おおやまとじんじゃ)でおこなわれる4月1日の例祭は、旧大和郷(おおやまとごう)に該当する9町の氏子による祭礼で、一般に「ちゃんちゃん祭り」の名で親しまれています。 祭りでは、各町で一年交代の頭屋(とうや)が選ばれ、祭りの期間に自宅の玄関に門飾りを飾ります。また、頭屋1件につき十歳ごろまでの男子が頭人児(とうにんご)となり、頭屋とともに神事に参加します。祭りは3月23日の宮入から始まり、祭り当日まで頭屋と頭人児は毎日神社に参拝します。31日の宵宮渡り(よいみやわたり)では頭屋に産子幣(うぶこへい)が授与されます。 4月1日午前に例祭の神事があり、午後には御渡りに参列する人々は装束に着替えて各町から境内に集合します。本社および摂社である増御子神社(ますみこじんじゃ)の両神輿を中心に、各町の産子幣、山鉾(やまぼこ)や風流傘(ふうりゅうがさ)等の様々な持ち物、馬上の甲冑武者、楽人等に扮した100名を超す行列は、一の鳥居から上街道(かみかいどう)を南下します。岸田町市場垣内のお休み所では、本社神輿が石の周りを3度半回った後、兵庫町の龍の口舞(たつのくちまい)がおこなわれます。中山町の御旅所に一行が到着後、中山町以外は所定の場所に座り、頭屋と頭人児を上座にして遅めの昼食をとります。大和稚宮神社(おおやまとわかみやじんじゃ)では神前に両神輿が安置され、御旅所祭が始まります。また稚宮神社の西に位置する歯定神社(はじょうじんじゃ)では、中山町の氏子から各町の頭屋が順に呼び出され、献饌と交換に粽等を受け取ります。 歯定神社の行事が終わると、頭人児全員が稚宮神社に参拝し、龍の口舞と新泉町の翁の舞(おきなのまい)がおこなわれます。最後に中山町の氏子が粽を撒き、各町の人々が競ってこれを拾います。往路と同じ道を還御した一同は、拝殿での神事後、頭屋と頭人児が昇殿し、産子幣を変換します。拝殿前で龍の口舞と翁の舞が奉納されて神事は終了し、神職から各町の頭屋に産子幣の幣紙が授与されます。 大和神社のちゃんちゃん祭りは、宮座の代表である頭屋・頭人児や神霊を祀る頭屋宅の門飾りをはじめとして、各町ごとに伝統的な頭屋祭祀がよく残されています。15世紀には4月1日の神事で神輿2基が岸田町のお休み所を通り、中山町方面へ神幸する形態をすでにとっていたこともわかっています。また、江戸時代初期から記された宮座文書も伝わっています。 龍の口舞、翁の舞のような芸能的要素を残した行事が付随しており、神社から御旅所への風流行列による賑やかな御渡りを特徴とした大和の古い祭礼の形を現在に伝えるものとして貴重です。
文化財指定
「大和神社ちゃんちゃん祭り」は平成30年2月2日付で奈良県指定無形民俗文化財に指定されました。
ちゃんちゃん祭りの御渡り
更新日:2021年03月05日